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サービス

ジョブ型人事制度―設計・運用支援

人的資本経営を具現化するジョブ型人事制度。WTWは単なる制度設計に留まらず、「Work, Rewards, Careers」の連動を通じて組織文化の変革を支援します。戦略に紐付いた職務定義から市場準拠の報酬設計、定着のための実務的なガバナンス構築まで、実効性のある変革を伴走支援します。

1. 企業が今、人事制度の変革を模索する背景

今日、多くの企業において人事制度の見直しが議論されている背景には、単なる仕組みの変更を超えた、経営のあり方そのものへの問いかけがあるように感じられます。市場環境の急速な変化や、価値観の多様化に伴い、これまでの安定を支えてきたメンバーシップ型雇用という枠組みだけでは、十分に対応しきれない場面が増えてきているのではないでしょうか。

(課題の一例)

  • 高度な専門性の確保: DXやグローバル対応を担う特定領域のスペシャリストに対し、従来の年次や等級に基づいた一律の処遇体系では、市場競争力のある条件を提示できず、獲得やリテンションが困難になっている。
  • 事業変革へのスピード: 職務内容を定めないジョブ・ローテーションは、人材の育成には寄与するものの、即戦力や特定の専門知見が求められる新規事業や組織再編のスピード感に追いつかなくなっている。
  • 自律的なキャリア形成への期待: 会社にキャリアを委ねるのではなく、自らのスキルで貢献し、市場価値を高めたいと願う優秀な層に対し、職務の要件や期待される成果が曖昧なままでは、エンゲージメントを維持できなくなっている。

私たちが考えるジョブ型への転換とは、単に職務を定義することではありません。それは、どのような仕事が将来のビジネスに貢献し、その役割に対してどのような才能を、いかに結びつけていくかという、経営と人事の結びつきをより強固にするためのプロセスであると考えています。

2. 組織の活力を引き出すための視点:Work, Rewards, Careers の連動

ジョブ型への移行を単一の制度変更としてではなく、仕事、報酬、キャリアという3つの要素が互いに響き合う、有機的なサイクルとして捉え直すことが、変革を成功させる鍵となります。これらが三位一体となって機能することで初めて、経営戦略と個人の志向が同期し、持続的なシナジーが生まれます。

  • Work(仕事):戦略の具体化:各ポジションが担うべき役割や成果責任(Accountability)を言語化し、可視化します。どのような仕事が将来のビジネスに貢献するのかを明確にすることで、一人ひとりが自律的に動ける環境の土台を作ります。
  • Rewards(報酬):貢献への動機付け:可視化された職務のインパクトや個人の貢献に対し、フェアに報いる仕組みを検討します。戦略に直結したWorkに対して正当な報酬を紐付けることで、社員の意欲がビジネスの成功へと直接的に向けられるようになります。
  • Careers(キャリア):実行力の担保と持続性:高い成果責任を果たすために必要なスキルを磨き、挑戦できる機会を提示します。報酬によって高まった意欲が、Careersを通じて必要なスキルの蓄積へと繋がり、再びWorkの質を高めるという好循環を生み出します。

戦略に必要な仕事を定義し、その価値に報い、それを遂行するスキルを育み続ける というこの相互補完関係こそが、制度を形骸化させず、組織に真の変革をもたらす原動力となります。

【表1】WTWが提唱する変革のフレームワーク

Work, Rewards, Careersの三位一体による価値創造
要素 役割と変革のポイント
Work(仕事) 各ポジションの成果責任を可視化し、一人ひとりが自律的に動ける環境を整える
Rewards(報酬) 職務のインパクトと個人の貢献をフェアに評価し、専門性に正当に報いる風土を醸成する
Careers(キャリア) 社員が自らの意志でスキルを磨き、多様な職務に挑戦できる機会を広げる

3. 変化を確実に組織へ浸透させるためのプロセス

制度を実効性のあるものにするためには、経営の想いを形にする構想と、現場の実情に即した実装のバランスが重要です。例えば、以下のようなプロセスを経て、丁寧に進めていくことが望ましいと考えています。

【表2】制度導入ロードマップ

戦略を実効性のある制度へ昇華させる6つのフェーズ
フェーズ 主要テーマ 具体的なアクション / アウトプット
1. 方針定義 人材マネジメント方針の再定義 戦略と連動した「目指すべき人材像」の言語化
2. 職務定義 ジョブ・アーキテクチャ、レベル、JDの体系化 職種・階層の分類、職務評価、成果責任(JD)の定義
3. 報酬設計 市場準拠の報酬戦略策定 報酬サーベイを用いた市場ベンチマーク、トータル・リワード(総報酬)の設計
4. 要件定義 成果責任とスキルの可視化 実効性のある職務記述書(JD)の作成、職務遂行に必要なスキル要件の定義
5. 計画策定 ガバナンスと移行計画の立案 財務インパクト(人件費)シミュレーション、激変緩和措置を含む移行ルールの策定
6. 定着支援 チェンジマネジメントの実行 ステークホルダーとの対話設計、管理職向け評価・フィードバックトレーニング

フェーズ1:人材マネジメント方針の再定義

最初の一歩は、自社にとって目指すべき人材マネジメントとは何かという根幹の考え方を整理することです。企業の理念や将来のビジョンと人材戦略を、改めて一本の線でつなぐ極めて重要なプロセスです。この方針が、移行過程で直面する様々な判断を支える指針となります。

フェーズ2:職務の定義と価値評価

事業戦略を実効性のある組織の力へと変換する、最も重要な設計図を描く段階です。単に既存の仕事を棚卸しするのではなく、将来の成長を見据えて本来どのような職種やポジションが必要なのかを定義し、組織の骨組みをデザインします。具体的には、以下の3つの要素を構造化することで、組織の透明性と納得感を高めます。

  1. ジョブ・アーキテクチャ: 組織内に存在する仕事を機能、専門分野、役職名、ジョブコード(各ジョブに付与する体系化された識別記号)などに基づいて構造的に整理します。
  2. 職務記述書(Job Description): 各職務が担うべき成果責任(何を達成すべきか)を明確化します。
  3. ジョブ・レベリング: WTWが提供するグローバル・グレーディング・システム(GGS)等の客観的な評価指標を用い、組織内の相対的な職務価値を定義します。

これらを一貫性のある仕組みとして構築することで、経営の意図が隅々まで浸透する組織基盤が整います。

フェーズ3:市場データに基づく報酬戦略の策定

設計の客観性を高めるためには、外部市場の動向も無視できません。外部の報酬サーベイなどを参考に、特定の職種やスキルが世の中でどのように評価されているかを把握し、自社の競争力を維持するための報酬体系を検討します。WTWが保有する広範な報酬データベースを一つの指標として活用し、基本給だけでなく賞与やベネフィットまでを含めた「トータル・リワード」の視点から、貴社にとっての採用競争力と、経営上の人件費効率の適切なバランスを共に検討させていただきます。

フェーズ4:成果責任と必要スキルの可視化

フェーズ 2で定義した職務の成果責任(Accountability)をベースに、実際のタレントマネジメントで活用可能なレベルまで情報を高度化させます。各職務を遂行するために具体的にどのようなスキルや経験、業務プロセスが必要かを詳細に定義します。

これは単なる文書作成の作業ではありません。ここで定義された詳細な要件は、人材の採用基準の適正化、個々の強みを引き出すキャリア開発、あるいは次世代リーダーの客観的な選抜といった、あらゆる人事業務を実効性のあるものへとアップデートするための、極めて実用的な基盤となります。

フェーズ5:財務・実務面のガバナンスと移行計画

制度転換には、財務的な視点も欠かせません。現行制度から新制度へ移行した際の人件費の動向を、複数年の期間軸で詳細にシミュレーションし、経営への影響を可視化します。同時に、不利益変更などの実務的課題についても、激変緩和措置の導入など多角的な視点からリスクを検討し、組織の持続可能性を担保する円滑な移行計画を策定します。

フェーズ6:対話を通じたチェンジマネジメント

制度を動かすのは最後は人です。経営層、管理職層、労働組合、そして社員一人ひとりとの丁寧な対話を設計します。制度のメカニズムを説明するだけでなく、この変革が個々のキャリアにとってどのような価値を持つのかというストーリーを共有することで、組織全体の理解と納得感を深め、新しい人材マネジメントへのスムーズな適応を支援します。

4. 実装の現場で直面する「難所」とその乗り越え方

理論上の設計が優れていても、実務の現場ではジョブ型特有の難しさが生じます。WTWでは、数多くのプロジェクト経験から、以下のような急所をいかにクリアするかに重点を置いています。

  • グレーディングの目線を合わせるキャリブレーション: 職務価値の評価は、個社の実態を考慮せず、ツールをただ当てはめるだけで完結するものではありません。部門間で評価の甘辛が生じないよう、経営層や各部門長との対話を通じて「目線合わせ(キャリブレーション)」を徹底します。GGSの定義をそのまま当てはめるのではなく、各社固有のビジネス文脈に沿った解釈を加え、組織として納得感のある序列を導き出します。
  • 「専門職ジョブ」を正当に評価する仕組み: 部下の人数が多いマネージャーが高く評価され、高度な専門性を持つスペシャリストが評価されにくいという偏りは、多くの日本企業が抱える課題です。GGSでは高い専門性を正しく評価することが可能であり、マネジメント管理責任とは別の軸で、多様な専門性の深さやビジネスへの直接的なインパクトを評価していきます。
  • 現場負担を軽減する言語化の支援: 職務記述書(JD)の作成は、現場マネージャーにとって大きな負担となりがちです。単に作成を依頼するのではなく、標準的なフレームの提供や、トレーニングを通じた言語化の支援を行うことで、現場の負担を抑えつつ、形骸化しない「血の通ったJD」の構築を支援していくことがより重要になります。
  • 持続可能なガバナンスの構築: 導入直後は整っていても、運用が進むにつれて「グレーディングのインフレ」が起きることがあります。職務の格付けを誰が、どのような基準で維持・変更していくのか。運用後のガバナンス体制までをセットで設計することで、制度の公平性を長期にわたって守り抜きます。

5. 変革の先に見据える、新しい組織文化の姿

ジョブ型人事制度が正しく組織に馴染むことで、年齢や経験に関わらず、高い専門性と貢献が公正に報われる文化が形作られていきます。社員は自らの市場価値を意識し、主体的にスキルを磨き続け、会社はそうした社員を惹きつけるための魅力的なビジョンを掲げ続ける。このような個と組織の対等なパートナーシップの構築こそが、変革の真の目的であり、人的資本経営を具現化する道筋であると考えています。

6. 私たちが提供する価値:パートナーとして共に歩むために

WTWは、単に制度という成果物を納品するだけの存在ではありません。貴社のビジネスの特質を深く理解し、時に経営の難問を共に考え、他社の事例を踏まえた客観的な視点を提示する、良きパートナーでありたいと願っています。
膨大なデータに基づく客観性と、数多くの変革を支援してきた知見を融合させ、貴社独自の最適な解を共に導き出す。組織を、そして人を信じ、共に未来の可能性を拓いていく。その一歩を、私たちは誠実にサポートさせていただきます。