1. なぜ今、GBMが注目されているのか
海外に拠点を持つ企業では、医療保険、生命保険、傷害補償、退職給付、ウェルビーイング施策などの福利厚生が、国ごとに個別に運営されているケースが少なくありません。仮に現地に運用、管理を任せた場合でも、現地の法令や税制、保険市場、労働慣行に合わせた制度設計は不可欠となります。海外進出が加速する中、拠点が増えるほど本社からは「各国でどの制度を、誰に、どの水準で、どれくらいのコストで提供しているのか」が見えにくくなっていきます。
たとえば、保険料が去年と比べて上がっていても理由が分からない、補償内容が国によって異なる、同じようなベンダーを各国で別々に採用してる、従業員に制度内容が十分伝わっていない――福利厚生を現地任せにしている企業の皆さまにおいては、このような課題をお持ちではないでしょうか。
近年は、医療費の上昇、各国規制の変化、人材獲得競争、従業員の価値観の多様化により、福利厚生は「各国任せで手配しておけばよい制度」ではなくなってきています。グローバルリスクマネジメントと同様に、企業にはコスト管理、人材の定着、従業員エンゲージメントといった重要課題を本社主導で管理するとともに、福利厚生についても企業価値を示す重要な施策として、グローバル全体で見直していくことが求められています。
2. GBMとは何か
上記のような背景のもと注目されているのが、グローバル・ベネフィット・マネジメント(Global Benefits Management:GBM)です。GBMは、各国の制度を無理に同じにするものではありません。GBMとは、「国ごとの事情を尊重しながら、海外拠点ごとに分散している福利厚生情報を共通の切り口で整理・可視化し、本社・リージョン・現地が一元的に把握・管理することで、方針・コスト・運用の最適化を図り、グローバルに一貫した福利厚生戦略と従業員体験を実現するとともに、継続的な改善につなげていくための仕組み」です。
具体的には、各国制度の棚卸し、補償内容・保険料・ベンダー情報の可視化、ベンチマーキング、更新交渉、ガバナンス体制の構築、従業員向けコミュニケーション、ウェルビーイング施策の検討などを行います。本社、リージョン、各国現地チームが同じ目線で状況を確認できるようにすることで、意思決定の質とスピードを高めます。
図1:グローバル・ベネフィット・マネジメント(GBM)はどのように機能するのか
3. GBMで実現できること
- 福利厚生制度の可視化-制度内容、保険料、更新時期、保険会社、従業員数、利用状況などを整理することで、現状の課題や改善余地を把握しやすくなります。
- ガバナンスとコンプライアンスの強化-各国の法令や市場慣行を踏まえながら、本社としての方針や最低基準を設定することで、過不足のない制度運営を支援します。
- コストの最適化-単に保険料を下げることだけを目的とするのではなく、補償内容、加入者構成、利用実績、保険会社との条件、場合によっては多国籍プーリングやキャプティブ活用なども含め、長期的に持続可能なコスト構造を検討します。
- 従業員エクスペリエンスの向上-福利厚生制度は、従業員がその内容を理解し、必要なときに活用できて初めて価値を発揮します。制度の分かりやすさ、利用のしやすさ、コミュニケーションの質を高めることで、福利厚生の価値を最大化し、従業員とその家族の満足度向上につなげることができます。
4. GBM導入は「現状把握」から始める
GBMの導入にあたって、最初から大規模な制度変更を行う必要はありません。
まず初めに、各国で提供されている福利厚生制度の現状を整理することです。どの国にどの制度があり、誰が管理し、どの保険会社・ベンダーと契約し、いつ更新を迎え、どのようなコストが発生しているのかを把握するだけでも、改善に向けた重要な示唆が得られます。
次に、企業の人事戦略や事業戦略と照らし合わせ、優先的に取り組む国・制度を特定します。例えば、従業員数が多い国、保険料の上昇が大きい国、制度内容が十分に把握できていない国、法令対応の確認が必要な国などから段階的に着手することが考えられます。
このような現状把握と課題整理を出発点として、WTWは企業の人事戦略や事業戦略に沿ったグローバル福利厚生戦略の検討を支援し、各国のWTWと連携しながら、その方針を各国レベルで実効性のある施策へと落とし込んでいきます。
5. WTWの強み
- グローバルなネットワークと各国の実務知見を一体で活用
各国の法令・市場慣行・保険会社との交渉状況を踏まえながら、本社の方針を現地で実行できる形に落とし込みます。 - データとテクノロジーを活用
制度内容、コスト、ベンダー、更新状況を継続的に可視化することで、福利厚生に関する意思決定の基盤を構築します。これにより、人事部門はデータドリブンな意思決定を行い、投資対効果を踏まえた優先順位付けや施策改善を効率的に推進できるようになります。 - 企業のグローバル人事チームの延長線上に立つパートナー
WTWはアドバイザー/保険ブローカー/保険代理店として、特定の保険会社に偏らず、企業の目的・従業員ニーズ・コスト水準に照らして選択肢を比較検討します。現状把握から制度設計、更新交渉、導入後の運営管理まで支援します。 - 継続的な評価と改善
改善機会を継続的に特定し、従業員向けコミュニケーションの強化、エンゲージメント向上、ウェルビーイング施策の推進、予防的な健康施策の導入などを通じて、福利厚生制度の価値を最大化します。その結果、従業員満足度の向上、健康状態の改善、さらには長期的な医療費増加の抑制を実現してまいります。
6. まずは、自社の福利厚生を可視化してみませんか
海外拠点の福利厚生について、「全体像が見えない」「保険料上昇の理由を確認したい」「国ごとの制度水準を比較したい」「本社として管理方針を整えたい」といった課題がある場合、GBMは有効なマネジメント手法です。
WTWでは、現状把握から課題整理、優先順位付け、改善施策の検討まで、企業の状況に合わせて支援します。グローバル福利厚生の最適化に向けた第一歩として、ぜひWTWにご相談ください。




