役員報酬へのESG指標の反映、世界主要企業の81%

【プレスリリース / 東京】 2024年2月15日（木） -- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW（NASDAQ：WTW）は、役員報酬のKPIとしてESG指標を採用する企業の状況等について、欧州、北米、アジア・太平洋地域の各市場における主要インデックス構成企業1,152社を対象とした調査を実施しました。

※ WTWによるESG指標の利用状況に関するグローバル調査は今回で４年目。S&P500、TSX60、FTSE100、CAC40、DAX40、その他欧州・アジア太平洋地域の主要インデックスを含む1,000社以上の開示情報のレビューを通じて、役員のインセンティブ・プランにおけるESG指標の普及度や業界動向、測定方法に関する詳細な調査・分析を実施。

《 調査結果ハイライト 》　

• 世界主要企業の81％が役員のインセンティブ・プランにESG指標を組み込んでおり、気候指標の利用が大幅に拡大（2022年75％から6ポイント増加）
  • 米国S&P500では76％、欧州主要インデックス構成企業328社では93％が採用
  • APACでは、4分の3以上の企業が役員報酬制度において少なくとも1つのESG指標の使用を開示しているが、その慣行は市場によって大きく異なる。オーストラリア、日本、シンガポールでは、欧米に匹敵するほどESG指標の開示と普及が進んでいる。しかし、APACの他の地域では、役員報酬慣行はまだ成熟しておらず、ESG指標の使用はまだ一般的とは言い難い。

Figure 1: 役員のインセンティブ報酬におけるESG指標の採用割合（グローバル 2023年調査）

※日本における調査結果の詳細は2023年10月11日付プレスリリース参照

• 多くの企業がESG指標を短期インセンティブ（STI）に組み込んでいる一方で、長期インセンティブ（LTI）におけるESG指標の採用も着実に増加
  • 特に欧州では56％の企業がLTIプランにESG指標を採用している。米国やカナダでは、LTIプランにおけるESG指標の採用は依然として低いものの、普及率は2019年以降3倍以上に増加している。
• 役員のインセンティブ・プランに最も多く使用されているESG指標は、社会(S)指標に属する「人的資本」指標で、欧米における普及率は70％～83％
  • 人的資本指標のなかでも特に採用が多いのは、従業員エンゲージメント、従業員の安全性、後継者/人材マネジメント、マネジメント/従業員のダイバーシティなどである。
• ESG指標として、環境・気候指標の利用が大幅に拡大しており、欧州では80％の企業が採用
  • カナダでは、少なくとも1つの環境・気候指標を採用する企業数が、2020年の27%から2023年には50%へと倍増している。環境・気候指標の拡大は、米国ではさらに顕著であり、同期間に普及率は12%から44%へと約4倍に増加している。APACでも環境・気候指標の利用は拡大を続けており、2022年の28%から2023年は39%に増加している。
• ESG指標は、引き続き、定量、定性の両面から測定・評価されている
  • 米国企業はESGパフォーマンスを評価する際に定性的な指標を用いる傾向が強いが、欧州企業の4分の3はESGパフォーマンスを定量的に測定している。一般的に、LTIプランではSTIプランよりもESGパフォーマンスを定量的に測定する傾向が強い。
• ESG指標の採用に関し、業界による慣行が収束しつつある
  • 今回の調査では、ITやヘルスケアなどの業界でESG指標の利用が大きく伸びており、普及レベルにおいて公益事業、素材、産業セクターなどの業界に追いつきつつある。役員のインセンティブ・プランにESG指標を組み込むことは普遍的な慣行となり、各業界ごとに長期的な価値創造に最も影響を与えるESG要素を重視する傾向にある。

WTW 経営者報酬・ボードアドバイザリープラクティス

ディレクター 宮川 正康

リードアソシエイト　塚田 紗央里

WTWについて

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