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データセンター(およびエネルギー)がAIリスクに与える影響

筆者

John M. Bremen
2026年7月15日

企業のマネジメント層は、AI導入の成否を左右する重要要素としてデータの重要性を強く認識しています。これに伴い、AIモデルを支えるデータセンターは事業継続の観点からも中核を担うインフラとなり、複雑かつ相互に連関する形でリスクが増大しています。こうした状況を受け、リスクの低減とデータセンター運用の高度化を目的に、より統合的かつ包括的なガバナンス体制の強化を進められています。

AIにおけるデータの役割

企業のマネジメント層では、AIモデルの適切な運用に不可欠なデータや、それを支えるデータセンターについては、依然として単なる“コモディティ”として過小評価されているという認識が広がっています。

一方で、データの確保や品質、所有権の所在、各種規制・ガバナンスへの対応、さらにはサイバー/データセキュリティなどは依然として課題であり、加えて、データの取得・取り込み・整備・分析といった一連のプロセスを支えるためのエネルギー確保も重要な論点となっています。

PEX Report 2025/26によると、企業の52%が、AI導入における最大の障壁としてデータの品質と可用性を挙げています。さらに、こうした課題は2026年にかけて、より深刻化していくと予想されています。

AIにおけるエネルギーの役割

AIの開発・活用を進めるうえで、電力や水といったインフラが制約要因となりつつあるとの認識がますます高まっています。

ゴールドマン・サックス・リサーチによれば、AIデータセンターの電力消費は、2030年までに2023年比で175%増加すると予測されています。大規模なAIモデルの学習・構築には膨大な計算処理が必要であり、高性能化されたデータは消費電力の大きいチップ上で何千回も処理されます。さらに、データセンターは常に稼働しているため、エネルギー需要は極めて大きくなります。

エネルギー需要の増加が供給能力を上回るペースで進んでいることに加え、代替電源の整備には長い年月を要することから、ゴールドマン・サックスをはじめとする複数の機関は、データセンターの稼働余力が「限界」に達するリスクがあると指摘しています。JLLは、送電網への接続に数年単位の待ち時間が発生しているため、今後は立地やコスト以上に「利用可能な電力」がデータセンターの立地選定における主要な要素となる可能性があるとしています。なお、Willis Research Networkでは、こうしたAIに伴うエネルギー課題への対応策について検討が進められています。

AIガバナンスの主要要素

以前にも、ディラン・サンドリン氏、ヘルムート・ルートヴィヒ博士、ベンジャミン・ファン・ギッフェン博士が報告した、全米企業取締役協会(NACD)による最新のAIガバナンスモデルを取り上げてきました。このモデルでは、AIガバナンスの中核要素として、「戦略的マネジメント」「資本配分」「AIリスク管理」「テクノロジー・ガバナンス」の4点が挙げられています。

データセンター容量に対する世界的な需要の高まりを背景に、組織が直面する課題は複雑化し、相互に影響し合いながら拡大しています。WTWのジョージ・ハイチによる2026年のレポートでは、NACDの4つのAIガバナンス要素に沿った、データセンターに関するリスク低減と運用高度化に向けた主要な対応策を取り上げています。

効果的なAIガバナンスでは、データセンターに関するリスクとレジリエンスの重要要素を織り込みながら、運用コストの変動やエネルギー制約、ダウンタイムといったリスクにも耐えうる体制を構築することが求められます。併せて、実効性の高い事業継続計画(BCP)と将来シナリオに基づく計画立案を支えることが重要となります。

この記事の初版は、 2026年2月27日にForbesに掲載されました。

執筆者

John M. Bremen, Senior Managing Director and Chief Innovation and Acceleration Officer

John M. Bremen

Senior Managing Director and Chief Innovation and Acceleration Officer