【プレスリリース / 東京】2025年8月25日(月)-- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、日米英独仏の5カ国における売上高等1兆円以上企業の社外取締役の報酬について調査を実施しました。
※個人別報酬額の開示情報より集計、日本のみ社外取締役の総額開示より一人当たりの平均報酬額を算定して集計
2024年度にかかる調査対象国における各企業の各国開示資料よりWTWのGlobal Executive Compensation Analysis Team(GECAT)が分析のうえ作成。なお、調査対象は以下のとおり:
※ 米国(Outside Directorを集計)、英国、ドイツ、フランス(それぞれNon-Executive Directorを集計)については、個人別報酬額および報酬の方針の開示情報を分析して集計。取締役会議長や筆頭等の役職を有さない社外取締役については、対象となる全ての個人別報酬額の平均値を算出し、1社につき1サンプルとして中央値を集計している。取締役会議長についてはその個人別報酬額の中央値を集計
※ 各国のデータサンプルにつき、在籍期間等により年額が得られないデータサンプルは異常値として集計上除外
※ 日本については、社外取締役報酬の総額開示より一人当たり平均報酬額を算出し、1社につき1サンプルとして中央値を集計
※ 円換算レートは2024年平均TTM(1ドル=151.58円、1ポンド=193.70円、1ユーロ=163.95円)
今年の社外取締役報酬は、中央値でみると総報酬(現金および株式報酬)水準が1,720万円から4.0%増の1,790万円となった。また、日本企業のうち株式報酬を社外取締役に付与する企業は、昨年から2社増え、過去最多の12社(約14.5%)となった。なお、報酬水準の上位10%の企業では社外取締役報酬が3,050万円(昨年比で24%程度の増加)に達し、大手企業を中心とした社外取締役報酬の顕著な上昇が表れていると考えられ、国内企業における二極化傾向を示唆する。
なお、今年の調査結果において、日本の導入事例が過去最多となった社外取締役に対する株式報酬は、報酬の増額改定を行ううえでは有効な取り組みだ。特にグローバル志向のある企業においては、株式報酬を用いた報酬構成の改定等を行うトレンドが見られ、株式の保有を通した株主価値とのアラインメント強化[1]が期待できることに加え、グローバル化に伴う外国籍役員の登用・アトラクションに向けた有力な手段として捉える企業が多い。今後も、日本企業が事業のグローバル展開等を目指す際に、非日本人の優秀な社外取締役人材の選任を検討する場合には、欧米のプラクティスを参考にしながら金銭および株式の双方を用いた報酬構成を検討することが有用だろう。
他方で、筆頭社外取締役等の選任および報酬設定に係るプラクティスは、日本と海外企業で依然としてギャップがある。欧米では、筆頭社外取締役、取締役会議長、委員長等に独立した観点から監督機能を担える社外役員が選任されることがベストプラクティスとされている。そのうえで、その役割責任や費やす時間[2]を反映する形で議長等を兼任しない社外取締役と比して高額の報酬を支給することが一般的だ。昨今、日本企業に対する報酬に関わる株主提案の増加等、ガバナンスおよび企業価値の改善を意図した投資家による活動の活発化を鑑みると、今後、取締役会議長として社外役員を任命する等、欧米並みのガバナンス体制が求められるだろう。そのような体制を可能とする一環として、会議体の議長や筆頭社外取締役の職責の重さに応じた報酬設定が重要な要素といえるだろう。
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