メインコンテンツへスキップ
main content, press tab to continue
メディア

WTW、『日米欧CEO報酬比較』 2025年調査結果を発表

2025年8月7日

Executive Compensation
N/A

【プレスリリース / 東京】 2025年8月7日(木) -- 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)は、日米英独仏の5カ国における売上高等1兆円以上企業のCEO報酬について、2024年度にかかる2025年6月末までの開示情報を用いて調査を実施しました。

《 調査結果 》

米国-23.3億円(+8.5%)、英国-10.4億円(+14.1%)、ドイツ-9.4億円(+0.4%)、フランス-8.9億円(-0.0%)、日本-3.0億円(+7.2%)
図1: 日米欧CEO報酬比較(2025年調査結果)

【参考1】日米欧ROEの比較(中央値ベース)

(中央値ベース)
  2024年調査ROE 2025年調査ROE
米国 16.64% 15.33%
欧州平均 11.35% 13.05%
英国 11.63% 16.16%
ドイツ 9.51% 11.10%
フランス 12.90% 11.88%
日本 9.85% 9.66%

【参考2】CEOの総報酬水準の推移(直近3年間)

今年の調査結果において、CEO報酬は、フランスを除き各国で昨年比報酬増となった(フランスはほぼ横ばい・いずれも現地通貨ベース)。なお、長期インセティブの伸びが特に目立ち、日本で17.8%増、米国・ドイツ・フランスは7.5%~10%増、英国33.2%増となり、他報酬項目と比較しても顕著な上昇が見られた。
図2:CEOの総報酬水準の推移(直近3年間)

【参考3】日本企業における報酬水準および報酬ミックスの傾向

日本企業においては、総報酬が中央値ベースで2.8億円から7.2%増の3.0億円に達した。中央値で見ると、総報酬のうち変動報酬(賞与および長期インセンティブ)が2/3を占め、長期インセンティブの水準が調査開始以降初めて基本報酬を上回り、拡大基調にある。また、総報酬の上位10%(8.0億円)の企業においては、変動報酬が9割近くを占め、欧州水準に迫っている。
図3:日本企業における報酬水準および報酬ミックスの傾向

【出 所(2025年調査について)】

2024年度にかかる開示資料よりWTWが作成。なお、調査対象は以下のとおり:

  • 米 国:Fortune 500のうち売上高等1兆円以上の企業388社の中央値
  • 英 国:FTSE 100のうち売上高等1兆円以上の企業41社の中央値
  • ドイツ:DAX構成銘柄のうち売上高等1兆円以上の企業36社の中央値
  • フランス:CAC 40のうち売上高等1兆円以上の企業38社の中央値
  • 日 本:時価総額上位100社のうち売上高等1兆円以上の企業の83社の連結報酬等の中央値

※ 米英独仏のデータについては、開示情報をもとにWTWの調査部門(Global Executive Compensation Analysis Team, GECAT)が分析。各国のデータサンプルにつき、在籍期間等により年額が得られないデータサンプルは異常値として集計上除外している

※ 括弧内は2024年度調査結果からの増減率(現地通貨ベース)

※ 参考1におけるROEについては、S&P Capital IQのデータを基にWTWにて作成

※ 参考2については、各年度における現地通貨ベースの額を円換算している

※ 参考3における報酬構成比率イメージを表すパイチャートは、分析対象企業における「基本報酬に対する年次インセンティブの割合」、「基本報酬に対する長期インセンティブの割合」の中央値/75%ile値/90%ile値を用いて算出している

※ 円換算レートは2024年平均TTM(1ドル=151.58円、1ポンド=193.70円、1ユーロ=163.95円)

《 コメント 》

分析所見:CEO報酬比較(中央値ベース)

  • 米国・英国・ドイツでは、報酬増(現地通貨ベース)。米国では各報酬項目、英国ドイツでは、長期インセンティブの増加が影響。
  • フランスの総報酬は、ほぼ横ばい(現地通貨ベース)。賞与額の縮小が総報酬に影響。
  • 日本は昨年比で7.2%程度の報酬増。変動報酬が総報酬の2/3を占め長期インセンティブが基本報酬を上回る。
  • ROE(中央値ベース)は、米国や欧州に比して日本の値が相対的に低い状況が継続。
WTW
経営者報酬・ボードアドバイザリープラクティス 
コンサルタント ブラウン ジョン

今年の調査結果において、CEO報酬は、フランスを除き各国で昨年比報酬増となった(フランスはほぼ横ばい・いずれも現地通貨ベース)。なお、長期インセティブの伸びが特に目立ち、日本で17.8%増、米国・ドイツ・フランスは7.5%~10%増、英国33.2%増となり、他報酬項目と比較しても顕著な上昇が見られた。日本企業における上昇トレンドの継続に加え、直近、欧州おいてもグローバル人材のアトラクションや米国企業との競争力を意識した報酬改定を実施する企業 [1]の影響が表れていると考えられる。

日本企業においては、インセンティブ報酬の拡充により、総報酬が中央値ベースで2.8億円から7.2%増の3.0億円に達した。中央値で見ると、総報酬のうち変動報酬(賞与および長期インセンティブ)が2/3を占め、長期インセンティブの水準が調査開始以降初めて基本報酬を上回り、拡大基調にある。また、総報酬の上位10%(8.0億円)の企業においては、変動報酬が9割近くを占め、欧州水準に迫っている。

これまで、グローバル報酬水準を意識する日本企業では、グローバルピアグループの設定・比較検証はせず、欧州水準を漠然と目指す傾向が見られた。他方で、欧州においても、報酬を米国水準へ引き上げる傾向が見られており、その多くが人材獲得機会の強化等を根拠としている。こうした状況下、米国企業を除く形で欧州水準を漠然としたグローバル報酬の解として捉える対応では、もはや説明不足だと考えられる。今後、日本企業において人材獲得等に向けた報酬のグローバル化に踏み出す場合、原理原則に戻り、グローバルピアグループの選定基準を明確化し、事業戦略・幹部人材戦略とアラインメントをとった比較企業群を設定する必要がある。なお、ピアグループの構成企業名を開示することは欧米では標準プラクティスとなっている。日本企業においてもピアグループの構成企業名を開示する事例も見られはじめているが、報酬水準設定の合理性をステークホルダーに対して示すうえでは、同様の開示を備えることが今後求められるだろう[2]

また、人材獲得・競争力等を報酬改定の根拠として主張する場合、それに値する幹部人材像を明確化する必要がある。CEO等を含むグローバル幹部の役割責任等を定義し、十分に人材要件を満たしていない場合に柔軟な選解任を可能とする体制(後継者計画・幹部の個人評価等)の整備が、グローバル報酬の運用上、重要な要素といえるだろう。


脚注

  1. 特に英国では、米国企業に対する「競争力の確保」を根拠に、長期インセンティブの引き上げを中心とした抜本的な報酬改定を行っている企業も多く、今後も上昇基調が続くことが想定される。本文に戻る
  2. なお、本年3月に金融庁より要請された「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた施策等の一覧」により、今後、機関投資家等から更に報酬に対する関心が高まることが想定される中では、報酬の決定に関連する開示の拡充が更に重視される可能性が高い。本文に戻る

WTWについて

WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。 世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。

私たちはお客様と緊密に協力して、持続可能な成功への機会を見つけ出し、あなたを動かす視点を提供します。

Contact us