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世界の年金基金上位300社の総資産がプラスに転じる

2024年9月12日

Investments
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  • 2023年の世界の年金基金上位300社の総資産は10%増加
  • 2022年の13%の減少から転じたものだが、総資産では過去の最高水準には未だ回復せず
  • 世界最大の年金基金であるGPIFは21年間トップの座を守ってきたが今後その座を失う可能性もある

【プレスリリース/東京】 2023年9月12日(木) – – シンキング・アヘッド・インスティテュート(※注:WTWの設立した非営利組織)と国際的な資産運用専門誌である米国のPensions&Investmentsが共同で実施した調査によると、2023年の世界上位300社の年金基金の総資産はプラスに転じました。これにより前年の減少の大部分を取り戻した形となりましたが、未だ過去の最高水準には回復していないことが明らかになりました。

この調査では、世界の年金基金業界における動向を概観し、世界上位300社の年金基金の構成比の変化に関する情報を提供しており、そうした基金の特徴や運用における資産配分なども取り上げています。

2023年において、世界上位300社の年金基金の運用資産総額は2022年末の20.6兆米ドルから10%増加し22.6兆米ドルとなりました。これは、2022年には世界経済の不透明感が高まっていた状態から市場がある程度安定化したことによるものであり、2022年に見られた総資産の13%の減少からは大きな反転を示しています。

世界上位20社の年金基金の資産は2023年に12%の増加を見せたことから、規模の大きい年金基金の伸び率は小規模な年金基金を上回っています。こうした伸び率の差は長期的にも続いており、上位20社の年金基金の過去5年間の年間平均成長率(CAGR)は5.4%であり、それに対して上位300位全体では4.7%でした。

日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、運用資産残高が1.59兆米ドルで引き続き世界最大の年金基金であり、この順位は2002年以来変わっていません。しかし、ノルウェー政府年金基金の資産は1.58兆ドルで、わずか0.5%の差でGPIFに次いでおり、過去1年で資産が22%と顕著な増加を示したことから、来年にはトップの座を奪う可能性があります。

「2023年に世界の年金基金の上位300社の総資産がプラスに転じたことはポジティブではあるものの、より不確実なマクロ経済環境と地政学的な不安定性の高まりが相まって、投資環境はますます複雑になっています。”

ジェシカ・ガオ | Director at the Thinking Ahead Institute

「昨年はインフレや金利情勢の高まりに特徴づけられる1年でした。これらはその後収束したものの先行きはまったく不確かなものとなっています。2024年上半期においてある程度の安定が見られたものの、不確実性は依然として高く、また重要選挙が複数実施されるなど地政学的な展開によって高まったグローバル経済のボラティリティは継続しています。」

全体として、DB(確定給付年金)が引き続き総資産において最大の割合となり、運用総資産の61%を占めています。続いてDC(確定拠出年金)の資産が26%、公的年金準備基金が12%を占めています。2023年、北米ではDBファンドが資産の72%、アジア太平洋地域では63%、欧州では46%を占める一方、他の地域においてはDCプランが支配的で68%を占めており、特にラテンアメリカでその傾向が顕著となっています。

平均として、上位20社の年金基金は資産のうち43%を株式に、35%を債券に、22%をオルタナティブ資産および現金に投資しています。とはいえ、世界の年金基金の上位300社の資産配分の決定には、地域ごとに大きな違いがあります。欧州では、株式へ配分する割合が31%で最も低い一方で債券が58%と高いのに対し、北米では株式の割合が45%、債券がわずか23%となっています。アジア太平洋地域では、株式が45%、債券が48%と比較的バランスがとられています。

ジェシカ・ガオは次のように結論付けています。 「気候変動などシステム全体が機能不全に陥るシステミック・リスクの高まりに対処する必要性があり、それにより将来を見据えた考え方と戦略の見直しが必要になると、我々は以前から警告してきました。」

「2020年に初めてネットゼロ宣言を設定して以来、資産運用業界は厳しい時間制約の中でこの課題に対峙してきました。4年が経過した現在ではある程度形作られてきているものの、残念ながらまだ完成には程遠い状態です。」

年金基金トップ20(単位:百万米ドル)
表1:年金基金トップ20(単位:百万米ドル)
Rank Fund Market
1 年金積立金管理運用独立行政法人 日本
2 Government Pension Fund ノルウェー
3 National Pension 韓国
4 Federal Retirement Thrift 米国
5 ABP オランダ
6 Canada Pension カナダ
7 California Public Employees 米国
8 Central Provident Fund シンガポー
9 National Social Security 中国
10 California State Teachers 米国
11 PFZW オランダ
12 New York City Retirement 米国
13 Employees Provident Fund マレーシア
14 New York State Common 米国
15 地方公務員共済組合連合会 日本
16 AustralianSuper オーストラリア
17 Florida State Board 米国
18 Ontario Teachers カナダ
19 Texas Teachers 米国
20 Labor Pension Fund 台湾

シンキング・アヘッド・インスティテュートについて

シンキング・アヘッド・インスティテュート(TAI)2015年1月に設立された非営利の運用調査及びイノベーションのためのグローバルな会員グループです。持続可能な未来のために資本を活用していくことに取り組んでいる機関投資家のアセット・オーナー及びアセットマネージャーから構成されています。世界中に52のメンバーを持ち、2002年に設立されたWTWのインベストメント部門のシンキング・アヘッド・グループをその前身としています。

WTWについて

WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。

私たちはお客様と緊密に協力して、持続可能な成功への機会を見つけ出し、あなたを動かす視点を提供します。

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