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政府系ファンドが世界の運用資産に占める割合は過去最高に

2023年12月14日

Investments
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  • 政府系ファンドは世界の運用資産規模トップ100のうち過去最高となる38.9%を占める
  • 世界のトップ20のアセット・オーナーだけで12.9兆米ドルを保有、トップ100の運用資産残高の55.2%を占め集中度合いが高まる
  • アジア太平洋地域は世界のトップ20のアセット・オーナーの大部分を占める
  • 世界のトップ20のアセット・オーナーは人工知能(AI)の重要性を挙げテクノロジー分野への投資を増加

【プレスリリース/東京】 2023年12月14日(木)– 世界をリードするアドバイザリー、ブローキング、ソリューションのグローバルカンパニーであるWTW(NASDAQ:WTW)のインベストメント部門は、世界トップ100のアセット・オーナーの調査レポートを発表しました。シンキング・アヘッド・インスティテュート(※WTWのインベストメント部門の関連組織)の新たな調査によると、政府系ファンド(SWF)が世界の運用資産規模トップ100のうち過去最高となる割合を占めるようになったことがわかりました。

世界トップ100のアセット・オーナーの資産総額のうち、政府系ファンドは38.9%を占め前年の36.7%から上昇しており、実数値では9.1兆米ドルを占めています。こうした比率の上昇は、市場が大きく動く中でも政府系ファンドの総資産の減少がそれほど進まなかったことによるものであり、過去1年では政府系ファンドは運用パフォーマンスや新規資金の流入の面で他の形態のアセット・オーナーを上回っていました。

その結果、年金基金はトップ100のアセット・オーナーの運用資産総額は52.8%と過半数を占める地位を維持する一方、アウトソースCIO(OCIO)やマスタートラストが残る8.3%を占めています。

中期的に見れば年金基金の比率は明らかに減少しており、5年前には年金基金はトップ100の60%以上を占めており、政府系ファンドが占める割合は32%と3分の1以下となっていました。

業界全体としては、世界トップ100のアセット・オーナーが運用する資産総額は2022年末で23.4兆米ドルとなり、25.7兆米ドルであった前年から9%近い減少となりました。

シンキング・アヘッド・インスティテュートが行った本調査では、世界トップ100のアセット・オーナーに関するさまざまな知見や動向を提供しており、運用機関の形態や投資配分の違いに関わらずランキング上位にあるアセット・オーナーが保有する資産の集中度合いが高まっていることも明らかとなっています。

世界トップ20のアセット・オーナーだけで12.9兆米ドルの資産総額を保有しており、トップ100の運用資産総額の55.2%を占めています。ランキング上位におけるこうした集中度は、過去1年において大手アセット・オーナーの資産価値の減少がそれほど進まなかったことによるものであり、実際、本調査における上位5位のアセット・オーナーの運用資産総額は5.7兆米ドルと24.4%を占めています。

本調査全体としての資産価値は2022年において減少したにも関わらず、アジア太平洋地域のアセット・オーナーがトップ20の資産に占める割合は高まっています。トップ20のアセット・オーナーのうち8社がアジア太平洋地域に所在し、トップ20の運用資産総額の47%を占めています。アジア太平洋地域のアセット・オーナーのポートフォリオの構成は、株式(49.1%)、債券(33.2%)、オルタナティブ(17.7%)にわたっています。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は引き続き世界最大のアセット・オーナーであり、運用資産は1.4兆米ドルに上ります。上位3位までにも大手政府系ファンドが続き、ノルウェー銀行インベストメント・マネジメント(1.3兆米ドル)が2位、中国投資有限責任公司(1.1兆米ドル)が3位となっています。

全体として、アジア太平洋地域は本調査の運用資産総額の33.7%と北米の33.9%と肩を並べる水準となり、欧州・中東・アフリカ地域が32.4%となっています。北米においては年金基金が占める割合が75%とトップとなり、欧州・中東・アフリカ地域では政府系ファンドが71%となっている一方で、アジア太平洋地域では年金基金は55%、政府系ファンドが44%と両者が同等の水準となっています。また、アジア太平洋地域は株式の比率が最も高くなっており(47.9%)債券(35%)、オルタナティブ(17.1%)が続きます。

シンキング・アヘッド・インスティテュートのディレクターであるジェシカ・ガオは以下のようにコメントしています。

「政府系ファンドから年金基金に至るまで、アセット・オーナーはグローバル経済のボラティリティと不確実性がここ数十年で最も高まったこの1年をなんとか乗り切ってきたものの、その結果は極めて多様となっています。」

「インフレ率の上昇と金利上昇が引き起こした混乱は、世界規模で株式市場や債券市場に影響を及ぼしておりアセット・オーナーは戦略の見直しと調整を迫られています。低インフレ・低金利の時代からの転換により、新たなマクロ経済情勢が生まれることとなり、それを理解し運用アプローチを改めることが必要となっています。こうした動向はあらゆる形態のアセット・オーナーに対して様々な形かつ思わぬ形で影響を及ぼしているにも関わらず、不確実性がかつてないほど高まったことによりポジティブな成果も生み出されています。そのひとつとして新たなリスク管理手法が台頭してきており、戦略的資産配分という旧来の考え方から離れ、大手アセット・オーナーはトータル・ポートフォリオ・アプローチ(TPA)を採用し、最終目標を中心に据え、資産を配分する際にはポートフォリオ全体での検討を行ったうえでベストアイデアを取り入れています。そのため、一部の大手アセット・オーナーは上昇相場にうまく乗り、短期的にも中期的にもより良い成果を生み出しています。こうした状況下においては市場の混乱によりアセット・オーナーやそのチームに対するプレッシャーが高まることから、企業文化がポジティブなものであることの重要性も改めて確認されているところです。」

WTWのインベストメント部門の日本のヘッドである木村倫啓は以下のように続けます。

「アジア太平洋地域は政府系年金基金や政府系ファンドの比率が高いことに加えて、経済成長や人口動態の伸長も相まって本調査におけるランキングでは長年にわたり上位に食い込んでおり、ランキングにおける中国のアセット・オーナーの台頭によってもこれは明らかです。しかしながら、直近においては北米と比較した場合に資産の伸び率が鈍化しており、その原因のひとつにはアジア太平洋地域におけるオルタナティブの割合(17.1%)が北米(35.4%)と比べて配分が少ないことが挙げられます。とはいうものの、資産配分に関するTPAの考え方や革新性に対しても同様の傾向が見られることから、アジア太平洋地域のアセット・オーナーがオルタナティブの分野において世界の同業他社に追いつくにつれ、こうした格差が縮小していくことを期待しています。」

本調査においては、大手アセット・オーナーが投資および意思決定プロセスにおける人工知能(AI)の重要性について新たな認識と理解を深めていることも明らかになっています。世界トップ20のアセット・オーナーのうち、9社がAI分野に積極的に注力していると回答しており、11社はイノベーションを支援するようなテクノロジーへの投資を拡大していると述べています。

ジェシカ・ガオは以下のように結論付けています。

「グローバルに重要なアセット・オーナーは、グローバルに重要な動向に関して理解や備えを高めており、それはここ1年ほどの間だけでも、気候から地政学、テクノロジーにいたるまで、それぞれに切実なシステミックリスクに関わる多岐の問題にわたっています。このように脅威とともに投資機会が拡がりを見せていることで、アセット・オーナーにとっては自らの投資のバランスを取る努力をする上で、慎重に舵取りする必要が出てきています。」

世界の運用資産規模トップのアセット・オーナー上位20(単位:百万米ドル)
アセット・オーナー上位20(単位100万米ドル)
  1. 2022年9月30日現在 Return to article
  2. 2022年3月31日現在 Return to article
  3. 推定値 Return to article
順位 組織名 総資産額
1. 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 日本 $1,448,643
2. Norges Bank Investment Management ノルウェー $1,250,000
3. China Investment Corporation 中国 $1,149,000
4. SAFE Investment Company 中国 $1,034,000
5. Abu Dhabi Investment Authority UAE $831,000
6. Kuwait Investment Authority クウェート $769,000
7. National Pension Service 韓国 $706,496
8. GIC Private Limited シンガポール $690,000
9. Federal Retirement Thrift[1] 米国 $689,858
10. Public Investment Fund/Sanabil Investments サウジアラビア $620,000
11. APG オランダ $490,382
12. California Public Employees[1] 米国 $432,235
13. Qatar Investment Authority カタール $425,000
14. Canada Pension Plan[2] カナダ $420,764
15. Central Provident Fund シンガポール $406,711
16. National Social Security[3] 中国 $347,214
17. Mercer[2] 米国 $337,733
18. Temasek Holdings シンガポール $298,000
19. CDPQ カナダ $297,000
20. California State Teachers[1] 米国 $290,384

注釈:2022年12月31日時点において入手可能な最新データを記載しています。

シンキング・アヘッド・インスティテュートについて

シンキング・アヘッド・インスティテュート(TAI)は非営利の調査およびイノベーションのためのネットワークで、受益者の利益となるよう運用業界に影響を及ぼすことに取り組んでいます。2015年の設立以降、約90社の運用機関が、目的に合った投資戦略の立案、組織の有効性の向上への取り組み、ステークホルダーの正当性の強化などを通じて、上記のビジョンの達成に向け協力しています。

WTWのインベストメント部門について

WTWのインベストメント部門は、リスク評価、戦略的アセット・アロケーション、受託者管理、投資マネージャー選定に関する専門知識を通じて、機関投資家に対し経済的価値を提供することを目指しています。全世界で900人以上の社員、全世界で1,000社以上の顧客、4兆7,000億米ドル以上の投資顧問資産、1,870億米ドルの運用資産を擁しています。

WTWについて

WTW(NASDAQ:WTW)は、企業に対し、人材、リスク、資本の分野でデータと洞察主導のソリューションを提供しています。世界140の国と市場においてサービスを提供しているグローバルな視点とローカルな専門知識を活用し、企業戦略の進展、組織のレジリエンス強化、従業員のモチベーション向上、パフォーマンスの最大化を支援します。

私たちはお客様と緊密に協力して、持続可能な成功への機会を見つけ出し、あなたを動かす視点を提供します。

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