地震は、一般に知られている以上に頻繁に発生しています。今年はすでに多くの深刻な地震が発生していますが、それ以外にも小規模な揺れも多数発生しています。9月末時点では、世界中で50回以上の大地震が記録されています[1]。
その影響は時に甚大です。たとえば、今年の能登半島地震による経済損失は、176億ドルに上ると予想されています[2]。台湾では過去25年間で最も強い地震が発生しました。
ヨーロッパでは、トルコのスルサライで地震が発生し、複数の建物が倒壊しました[3]。南米では、ブラジルがここ数年で最も強い地震の1つに見舞われました[4]。
しかし、小さな揺れでも損害をもたらす恐れがあります。そのため、地震リスクに脆弱な企業にとって、この問題に取り組むことが不可欠です。
地震とは、地球の2つの地殻プレートが互いに滑り込むことによってエネルギーが放出され、地面が揺れることです。
世界中で毎年15回前後の大地震が発生していることは知られていますが、いつ、どこで発生するかを正確に予測することは不可能です。
最も大きく、壊滅的な地震は地殻プレートの境界で発生する傾向がありますが、どこででも発生する可能性はあります。
その影響は悲惨なものです。揺れそのものが大きな破壊をもたらすだけでなく、津波、地滑り、陥没穴などの連鎖反応による二次被害の恐れもあります。ガスや電気のインフラが影響を受けた場合、地震は火災や爆発を引き起こす恐れもあります。こうした危険はすべて、生命や財産に対するリスクを高め、ビジネスの損失を増大させます。
地震の規模は、2つの異なる方法で測ることができます。「モーメントマグニチュード(Mw)」は地震によって放出される総エネルギーを測定し、「改正メルカリ震度階級(MMI)」は特定の場所での揺れの強さを測定するもので、その場所の地質や土壌の種類の影響を受けます。
地震は本質的に予測不可能なものですが、影響を受ける恐れのある企業にとって、その拠点、建物、設備が揺れに襲われた場合に、どの程度の損害が発生する可能性があるかを評価する方法があります。
一つは、過去の地震の記録を調べる方法です。このデータは、特定の地域で過去に発生した地震の場所と強度をマッピングし、リスクの高い地域と低い地域を把握するために使用することができます。
ただし、これは有益な作業ではあるものの、限界があります。地震の記録が遡るのは通常100年ほど前までであり、それ以前の、さらに規模が大きかった可能性のある地震は分析に含まれるとは限りません。
巨大災害モデリングツールは、地震リスクに関し、より高度な洞察を提供します。これらのツールは、最新の科学的理解とデータを考慮し、想定されるさまざまな地震シナリオにおいて予想される経済的損失を算出します。
これらの結果を活用することで、企業は地震関連の損失リスクが最も高い拠点を包括的に理解することができます。また、このモデルを用いることで、組織の保険の補償範囲が十分かどうかの評価も容易になります。
実際のところ、災害モデルが取り入れる情報の量が多く、質が高いほど、分析の精度は高まります。モデルが考慮に入れる要素には、地域の地質、土壌の種類、建物の脆弱性などがあります。
そのため、モデルには詳細な位置情報と建設情報が必要となります。
重要なのは、地震関連の損失が広範囲に影響を及ぼす可能性があることを認識することです。たとえば、日本で2011年に東日本大震災と後続の津波が発生した際には、自動車産業などで生産能力が大幅かつ長期的に低下しました。その結果、顧客はサプライチェーンの混乱に見舞われ、影響を受けました。
構外利益補償で保険金を請求できた企業もありました。
こうした多くの問題があるため、地震に関する戦略的リスクコンサルティングは非常に重要なものとなっています。
異なる場所で同じマグニチュードの地震が発生した場合、これら2回の地震による損害や、単一の地震が同じ地域内の2つの地区に影響を及ぼす場合でも、その損害は大きく異なることがあります。そのため、企業がリスク低減や保険の選択肢について十分な情報に基づいた決定を下すために、専門家の助言が必要です。
企業が自社のリスクエクスポージャーをより詳細に理解すれば、最も費用対効果の高い方法でどのように対応するかを判断できるようになります。
たとえば、地震が起こりやすい地域に不動産を所有する北米の不動産投資会社は、最も有益なリスク低減策を見極めたいと考えていました。
巨大災害モデリングツールを活用することで、地震リスク全体の60%を占める3棟の建物が特定されました。
これらの建物は補強されていない石造りで建てられているため、揺れに対して特に脆弱です。より強度の高い素材への改修には1,000万ドルかかりますが、この作業を行うことで潜在的な損失を1億5,000万ドルも減らすことができます。
地震リスクに備えるには、さまざまな保険商品が適している場合もあります。
これには、従来型の補償とパラメトリック保険の両方があります。パラメトリック保険とは、損害と因果関係のある指標(パラメーター)が、契約時に設定した条件を満たした場合に、予め決められた一定額の保険金を支払う保険です。
地震の場合、保険対象地域内を震源とする地震が一定のマグニチュードを超えた場合に、このような補償が発動される可能性があります。
この種の保険は、特定の種類のリスクが補償されない場合や、高い免責額や低い限度額が適用される場合など、財物保険のギャップを補償するのに役立ちます。
また、パラメトリック保険には確実性があります。保険契約者は特定の状況下で受け取れる保険金の額を把握することができ、正式な損失査定プロセスが不要なため、通常保険金を迅速に受け取ることができます。
とはいえ、保険契約者は損失を被った場合でも、トリガーレベルが満たされなければ保険金が支払われないことも理解しなければなりません。
最近の例では、広域に拠点を持つ米国の公的機関が、大地震が発生した場合に即座に現金支援を受け取れるようにしたいと考えていました。
保険では、地盤加速度のピーク値(重力加速度に対する割合(%g)の単位)で測定される地盤の揺れが、特定の場所で一定レベル以上であった場合に支払われるというパラメトリックソリューションが準備されました。45%g(強い揺れ)では500万ドル、60%g(非常に強い揺れ)では1,000万ドル、75%g(激しい揺れ)では2,000万ドルが支払われるというものです。
この保険は、オープンソースデータおよび事前に合意した計算式で独自に支払い額を算出し、大地震発生時に即座に支援を受けることができます。
また、保険契約の期間を3年間に設定することで、このいずれかの年に大地震が発生する確率が低いことから保険料を抑えることができました。
実際には、状況は一つ一つ異なります。地震リスクを管理する最も適切な方法は、個々の状況に応じて企業によって異なります。
リスクエクスポージャーを評価することが出発点であり、これにより適切な対応が決まります。
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