他方世界を見渡すと、業績不振や不祥事、CEOの健康問題等で、「有事の」後継者計画が発動されるケースは少なくはありません。欧米企業の多くが、これに備えるエマージェンシープランとして「有事の社長後継者計画」を策定しています。本稿では、欧米企業における上記標準プロセスについてご紹介させていただきます。
下図1は、欧米における有事のCEO後継者計画の概要を纏めたものです。まずはCEOの「有事の」後継者計画を、既存の災害・事故・サイバー攻撃といった企業にとっての危機と定義し、危機管理の対象に加え、プロセスを定義することが重要です。他の危機管理プロセスと同様に、各取締役は対応策についての十分なトレーニングを受け、緊急事態発生時のシュミレーションを経験することも重要となります。
有事の後継者計画ガイドライン設計においては、考え得るケース別に標準プロセスを確立することが標準的です。一次対応の具体策としては、有事発生後、速やかな関係者への通知、48時間以内の取締役会開催、新CEOの指名、社内外へのコミュニケーションといったところです。より長期的な恒久対応についても同様に定義し、粛々と進めることにより、将来の有事リスクをヘッジすることに繋がります。
新CEOの指名プロセスについては、昨今話題となっている米国憲法修正25条が参考になるとしばしば言われます。(米国憲法修正第25条:大統領の免職、死亡、辞職の場合には、副大統領が大統領となる。副大統領が欠員のときは、大統領は副大統領を指名し、指名された者は連邦議会両院の過半数の承認を経て、副大統領職に就任する。)つまり、現CEOにいつ何時何があっても速やかに、予め定められた後継者が指名され、CEO交代の大きな影響を受けることなく、企業としての機能は、維持されるという状況です。欧米企業では、COO職やCFO職が社長の後継者ポジションとして社内外に広く認知されているケースがよくあります。その場合、後継者指名自体はスムーズに行われることが多いのですが、有事は通常想定より早く訪れます。したがってその時点で、特定された後継者がCEO職に就任する準備が整っているのか、という論点は残ります。果たして候補者が「Ready Now」なのか「Ready Future」なのかという最終評価は、特に有事の指名においては、厳に追加されるべきプロセスになります。
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