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ウイリス・タワーズワトソン、『2020年 米国S&P500企業における人的資本管理にかかる開示状況』、速報調査結果を発表

Executive Compensation|Talent|Total Rewards
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2021年2月17日

【プレスリリース / 東京】 2021年2月17日(水)— 企業に対するコンサルティング業務、保険のブローカー業務、各種ソリューションを提供する業務における世界有数のグローバルカンパニーであるウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は米国において2020年11月より新たに開始された人的資本管理にかかる開示規制への対応状況について、S&P500企業を対象に、改正規則適用開始以降に提出された開示資料(34社のForm 10-K)を用いて分析調査を実施しました。

《 調査概要 》

米国S&P 500企業について改正規則適用開始(2020年11月9日)から2020年の年末までにForm 10-Kを提出した34社について、人的資本管理にかかる開示内容を集計、調査。なお、改正規則は、プリンシプル・ベースのアプローチを採用しており、各社にとって事業を理解するうえで重要(Material)な範囲で、開示を行うよう求めており、開示内容や項目は現状、各社の判断に委ねられている。調査は(1)人的資本管理にかかる記述情報の開示状況、および(2)人的資本管理にかかる定量データの開示状況、という2つの観点から実施した。

《 調査結果 》 

  1. 人的資本管理にかかる記述情報の開示状況について

    各社において開示がなされた人的資本管理にかかる記述情報は以下の通り。ただし、集計上COVID-19に特化した記述については対象外とした。

    (68%)であり、続いて「多様性にかかる施策や戦略(Diversity initiatives and strategies)」(62%)、「従業員のエンゲージメント(Employee engagement)」(44%)が並んだ。

    開示を実施している企業の割合が最も高かった項目は「従業員の育成やトレーニング(Employee development and training)」(68%)であり、続いて「多様性にかかる施策や戦略(Diversity initiatives and strategies)」(62%)、「従業員のエンゲージメント(Employee engagement)」(44%)が並んだ。

  2. 人的資本管理にかかる定量データの開示状況について
    各社において開示がなされた人的資本管理にかかる定量データの状況は以下の通り。

    従業員数にかかる情報は従前より開示が求められている内容であり、ほとんどの企業において記載が確認できたが、それに続く内容としてはジェンダーにかかる情報や、Race/Ethnicityにかかる情報など、多様性に関連した定量情報の開示が目立っていた。

    以降に、代表例として3社取り上げた上で、人的資本管理にかかる開示内容の抜粋を紹介する。1社目は、市場競争力のある給与水準を含むトータルリワードについて方針を説明しているケース(ベクトン・ディッキンソン社)、2社目はジェンダー等による報酬の公平性にかかる達成状況・方針を積極説明しているケース(スターバックス社)、3社目は多様性(Diversity & Inclusion)をCEO及びその他役員の目標設定(年次)に組み入れていることを開示しているケース(ジョンソン・コントロールズ社)を示している。

    開示例(1)市場競争力のある給与水準を含むトータルリワードについて方針を説明しているケース

    図表3:ベクトン・ディッキンソン社(医療機器) Form 10-K(2020年9月期)抜粋

    開示例(2)ジェンダー等による報酬の公平性にかかる達成状況・方針を積極説明しているケース

    図表4:スターバックス社(コーヒーチェーン) Form 10-K(2020年9月期)抜粋

    開示例(3)多様性(Diversity & Inclusion)をCEO及びその他役員の目標設定(年次)に組み入れていることを開示しているケース

    図表5:ジョンソン・コントロールズ社(総合電機) Form 10-K(2020年9月期)抜粋

《 コメント 》 

2018年の英国コーポレートガバナンス・コード改訂、2020年の米国SEC開示規則(Regulation S-K)の改正、また、わが国では経済産業省によるいわゆる「人材版伊藤レポート」の公表や金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」における足下の議論など、国内外で人的資本管理を巡る議論や開示強化の要請が進展してきている。ブラック・ロック社のCEOラリー・フィンク氏は毎年、投資先企業CEOに書簡を宛てているが、2021年1月に公表された最新のものを見てみると、多様性(diversity)や公平性(equity)を含む人材戦略開示の重要性に言及している。

“人材のフル・スペクトラムを活かしきれない企業は、その分弱く、その分最良の人材を採用できておらず、顧客や事業を行うコミュニティのニーズを反映しきることができず、そしてその分アウトパフォームできない。 Raceやethnicityの課題は地域によって課題感も異なるものだが、我々はすべての国の企業が最大限の人材を活かしきれる人材戦略を持つことを期待している。各社がサステナビリティ・レポートを発行する中で、多様性や公平性(diversity, equity, and inclusion)を、地域差は踏まえつつも、どのように長期的に改善していくのかを盛り込んだ人材戦略を開示することを求めている。なお、我々は自分たちに対しても同じことを課している。“(仮訳)

人的資本管理は「ESG」のフレームワークにおいて企業の業容によらず検討されるべき要素であり、わが国においても今後、開示を見据える形でボード(取締役会や下部の委員会)による主体的な管理監督と対外的な説明責任履行の準備が求められていくと考えられる。例示として、以下のような各項目について自社が計数管理できる状況にあるかを確認してみてもよいかもしれない。そして、日系多国籍企業においては、これらについて国内拠点の状況と国外拠点の状況の対応ギャップを埋めることが大きな課題と考えられる。

  • 育成・トレーニング:事業戦略上求められるスキルの充足状況や人材開発投資の状況
  • 多様性:階層別のジェンダーの構成比、また男女の報酬格差(Gender Pay Gap)
  • 従業員のエンゲージメント
  • 報酬や福利厚生:役員を含む階層ごとの報酬水準の考え方・位置づけ、その整合状況

米国における人的資本開示はまだ始まったばかりであり、今回の調査は9月決算企業を中心とした速報値に留まるが、ステークホルダーとしての従業員重視の潮流は一時のブームとは考えにくく、今後各社の開示を継続的に見ていく必要があると考えられる。日本企業については、「三方良し」などに代表されるように従来から幅広いステークホルダーへの配慮を標榜しており、なおさらこのようなグローバルの潮流を静観することは許されず、むしろ先行すべき論点といえるかもしれない。

ウイリス・タワーズワトソンについて

ウイリス・タワーズワトソン(NASDAQ:WLTW)は、企業に対するコンサルティング業務、保険のブローカー業務、各種ソリューションを提供する業務における、世界有数のグローバルカンパニーです。企業の持つリスクを成長の糧へと転じさせるべく、各国で支援を行っています。その歴史は1828年にまで遡り、現在は世界140以上の国と地域そしてマーケットに45,000人の社員を擁しています。 私達はリスク管理、福利厚生、人材育成などの様々な分野で、企業の課題に必要な解決策を考案・提供し、企業の資本効率の改善や、組織と人材の一層の強化を図ります。また『人材』『資産』『事業構想』の密接な関係性を理解し、企業を業績向上へと導きます。 ウイリス・タワーズワトソンは、お客様と共に企業の可能性を追求して参ります。

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