
弊社が2018年に実施した調査においてもそれを示す顕著な傾向が見られ、アジア太平洋地域のほとんどの国においてトップ3に”現金報酬“が選ばれている。本稿では弊社が実施している報酬サーベイの最新の結果を元に、アジア太平洋地域の視点も織り交ぜながら、日本の報酬の傾向についてご紹介する。


大学新卒相当である『グローバルグレード*(以下”GG”)8』では、最も高いオーストラリアから少し間を空けて日本、シンガポール、香港、韓国の集団が続く。中国や台湾が続き、さらにタイやインド、フィリピンなどが下位集団を形成する。日本については、『GG12』(課長レベル)までは同様の位置を維持するものの、『GG14』(部長級)では香港、シンガポールに抜かれ、『GG16』(一般的には本部長級)では、対中国・韓国でも劣位となる。
日本の企業においては一般に、長期雇用とそのもとでの公平性を重視することから、全体としては定年まで緩やかな賃金カーブを描くことを基調とし、各等級/役職間の給与差は他国に比べ相対的に小さくなる。これに伴い、上級幹部以上においては先進各国や経済成長著しい中国等の国々と比べても低い水準となっている。
*グローバルグレード (GG) はウイリス・タワーズワトソンの報酬サーベイにおいて、全世界の組織やその中における等級を測定する共通の尺度である

『GG12』(課長レベル)以上の層は、専門知識やマネジメントスキルなどを持ったビジネスの根幹を担う人材層といえるが、その『GG12』以上から日本企業と外資系企業の水準差が広がり始め、『GG16』(一般的には本部長級)において、外資系企業の水準は日本企業を約20%程度上回る。日本の外資系企業の水準分布は前章でみたシンガポールや香港などと似た傾向を示している。グレードがあがるにつれて大きく昇給するようなメリハリのある水準設定がなされており、これは外部人材を市場で獲得することが一般的な外資系企業において、特に上級幹部層を中心に報酬の競争力を維持する狙いがあるものと思われる。

技術系職種の報酬水準について、日本企業と外資系企業の報酬水準を検証すると、管理系職種・営業系職種では両者の乖離がほぼ見られなかった一方で、技術系職種では外資系企業が日本企業を15%程度上回っており、大きな乖離が見られた。また、外資系企業に焦点を絞ると、技術系職種の報酬水準は非技術系職種の水準を上回る傾向が見られる。特に一部の職種においてはその超過幅は著しく、同じ技術系でも職種による報酬差が生じている状況がうかがえる。

技術系職種において、外資系企業を中心に人材獲得競争が繰り広げられている結果、相場が上昇しているものの、日本企業がその相場上昇に追いつききれていない状況が透けて見える。ただし、最近では日本企業にも市場の状況を見極めて柔軟に報酬を設定する動きが見られており、日本企業と外資系企業との乖離が今後どうなるか注目されるところである。
報酬サーベイについてのお問い合わせ:WTWJPDATA@wtwco.com




