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バーンアウトがウェルビーイングとエンプロイー・エクスペリエンス(従業員体験)に与える影響

Future of Work|Talent|Total Rewards
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執筆者 Pheona Chua 礒嶋 あづさ 遠藤 茜 | 2022年7月12日

労働環境が目まぐるしく変わる中、従業員のバーンアウト(燃え尽き症候群)についての懸念が高まっています。福利厚生とエンプロイー・エクスペリエンスに関する本記事では、このような環境において従業員をサポートする方法についてご紹介します。

近年、従業員は仕事と生活の大きな変化に直面し、これまでにない健康やウェルビーイングへの不安を抱えています。60%近くの従業員が、これらの課題により中程度から高いレベルの不安を感じています。ストレスは、進行中の健康危機や新たな経済的懸念、リモートワークやハイブリッドワークによる仕事に集中できない状態など、さまざまな面から生じています*1

パンデミックに関連する不安を報告する社員が89%、新たな個人の経済的懸念事項を報告する社員が70%、リモートワークにより仕事に集中できない状態を報告する社員が67%。
図1.パンデミック最盛期には、社員の不安や課題が増加した。

伝統的な労働形態・働き方の崩壊をはじめ、厳しい仕事量、社会的支援の欠如、ワークライフバランスの曖昧さなどが従業員にプレッシャーを与え、バーンアウトの懸念を増大させる原因となっています。

職業上の影響

バーンアウトは、深刻なストレスが長期間にわたって持続し、コントロールされないまま、すべての対処メカニズムが機能しなくなったときに起こります。その結果、従業員は極度のストレスを受けることになります。職場では、従業員は生産性やパフォーマンスの低下、エネルギーの枯渇、否定的な感情や憤り、職業上の肯定感の低下を被る可能性があります。バーンアウトは、疲労、不眠、悲しみ、怒り、苛立ちを引き起こし、アルコールや薬物の乱用、心臓病、糖尿病などの深刻な病状を含む、さらなる健康被害や病気につながる可能性があります*2

雇用主は、従業員のバーンアウトを防ぐために積極的な役割を果たすことができます。当社の2021年ベネフィットトレンドサーベイによると、多くの組織が以下に示す何らかの措置を講じていることがわかりました。

  • ウェルビーイングを福利厚生の主要項目として設定 雇用主は、ワークライフバランスやセルフケアを実現するために、福利厚生制度を設計し直しています。例えば、サバティカル休暇を設けて、長期間の休養や、家族・趣味・進学など個人的な優先事項のための時間を確保することを認めています。
  • デジタルツールやアプリの活用 雇用主はデジタルヘルスプロバイダーと提携し、マインドフルネス、瞑想、認知行動療法など、情緒面・精神面におけるウェルビーイングを多面的にサポートできるプラットフォームを提供しています。
  • メンタルヘルスサポートの強化 アジア太平洋地域の雇用主は、今後2年間で福利厚生制度を通じたメンタルヘルスへのサポートを強化する予定です(図2)*3。また、最近では多くの企業が遠隔医療へのアクセスを拡大しており、現地の法律が許す限り、従業員がより直接的に専門家のメンタルヘルスケアにアクセスできるようになる可能性があります*4
メンタルヘルスのサポートの追加・強化をする雇用主が58%、変更予定なしが41%、縮小・廃止は0%。
図2.アジア太平洋地域の雇用主は、今後2年間で福利厚生制度を通じてメンタルヘルスサポートを強化する予定

従業員の心の健康をサポートし、燃え尽き症候群を減らすために

従業員のメンタルヘルスとウェルビーイングを重視し、バーンアウトの発生を防ぐことは、会社全体として取り組むべき課題です。これによるプラスの影響は、業務プロセスやパフォーマンス管理、そしてエンプロイー・エクスペリエンスといった幅広い領域に及びます。ここでは、その手始めとして取り組むべき6つのヒントを紹介します。

適切な働き方の構築

現行の制度の中でも、労働時間やフレックスタイム制、休暇、あるいはその他福利厚生に関する項目を見直してみましょう。これらはいずれも、働くこと、そして休むことに対する従業員の考え方に影響を与え得る要素です。一貫した方針のもとで、ワークライフバランス実現のための取り組みを行いましょう。

管理職へのサポート

管理職には、バーンアウトのリスクを見落とさないためのトレーニングとスキルセットを与え、また実際に燃え尽き状態にある部下をサポートするためのリソースを提供しましょう。部下が自身への期待や業務量、時間的なプレッシャーなどに押しつぶされないよう、かつそれらが持続可能なものとなるよう、管理職が目を配る必要があります。こうした方針は、経営陣から発信されることで、より大きなインパクトを与えることができます。すなわち、経営陣が社員や管理職層の模範として、価値観を実践する姿を示すことができるのです。

社内のネットワーク構築と活用

職場における情緒面・精神面のウェルネスを育むために、様々な人と幅広いつながりを持つリーダーを認定しましょう。リーダーは、従業員がストレスの原因を特定して対処すること、またネガティブな思考に囚われることなく、同僚と協力してレジリエンスを高めることができるよう、従業員を支援する役割を担います。

チームのつながりの深化

特別なイベントを祝ったり、共通の趣味の集まりに参加するなど、仕事以外で従業員同士がつながりを深めるための場を定期的に設けましょう。リモートで働く同僚がいる場合でも、オンラインでの近況報告、バーチャル・ゲームやオンライン料理教室などの方法でチーム・ビルディングの機会を持つことができます。

従業員の声の傾聴

フォーカス・グループ・セッションやパルス・サーベイを実施し、従業員の状況を把握することで、ストレスの根本原因を特定し、燃え尽き状態になる前に手を差し伸べることができます。また、管理職は、従業員が安心して仕事の悩みを打ち明けられるように時間を取り、一緒に問題に対処する方法を話し合うこともできます。

具体的なリソースの提供

従業員が自分で問題に対処するための支援サービスも併せて提供しましょう。例えば、従業員支援プログラム(EAP)を積極的に活用する、日々のストレス要因に対処し、健康状態を総合的に改善するためのマインドフルネス・アプリケーションといったデジタルツールを利用するなどです。

バーンアウトを解決する包括的な方法はありません。しかし、組織は従業員に対する共感と柔軟な発想をもって、従業員のウェルビーイングに対するきめ細かな支援を行うことができます。また、従業員の身体的あるいは精神的、また社会的、経済的なウェルビーイングを大切にすることで、従業員のメンタルヘルスと総合的なウェルビーイングを効果的にサポートすることが可能になるのです。

パンデミックをきっかけとした生活や働き方の急激な変化は、様々な形で従業員の心身の健康に影響を与えています。また、同じ状況下であっても、その受け止め方や不安・ストレスへの耐性は人によって異なるものです。特にリモートワークなど勤務体制の変化によってお互いが見えにくくなり、人知れずバーンアウトが進行してしまう恐れもあります。

そうした中で、制度の見直しやリソースの提供など、会社は具体的に目に見える形で従業員を気遣う姿勢を示すことができます。また、従業員同士の物理的な接点が薄れている中、チームをまとめ、部下に目を配る管理職に対するサポートも重要です。

会社と従業員、また従業員同士のつながりを保ちつつ、従業員への具体的かつ多面的なサポートを行うことが必要なのです。

WTWは、「ターゲット・パルス・サーベイ」のサービスを提供しています。特定のテーマについてタイムリーに従業員の声を聴く、結果に基づいた取り組みを行う、さらに取り組みの効果をモニターするといった形で活用いただくことができます。「ウェルビーイング」は「ターゲット・パルス・サーベイ」の主要テーマの一つです。

「ターゲット・パルス・サーベイ」サービスについては、こちらのページををご参照ください。

本記事は、WTWの海外に在籍するコンサルタントにより執筆された記事を和訳し、日本のコンサルタントによる見解を追加したものです。


出典

1 WTW Employee Opinion Norm Database – August 2020

2 World Health Organization

3 2021 Benefit Trends Survey

4 WTW 2022 Global Medical Trends Survey

執筆者

Associate Director, Corporate Health & Wellbeing, Asia & Australasia

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